Neutralize - blog

警察組織による「まとわり・集団ストーカー」の記録。特に「耳鳴り音」などによる直接身体に危害を与える攻撃と尾行・盗聴・盗撮などの心理攻撃について映像などを交えて説明してゆきます。追記や手直しの履歴は右サイドバー2段目にあります。

鑑賞妨害 ライブハウス6

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■2016年2月6日(土)

 Rさんのカルテットを聴きに大阪へ。出発前、室内で血圧測定。電磁攻撃により頭の締め付けを感じており、上170を超えている。駅のホームですでに「鳴り」あり、車両の中にも少なくとも4匹の私服警官。(別投稿予定)もちろんつきまとい、電磁攻撃を加える加害者である。
 午後6時半、ライブハウスDに到着。客はまだいない。Rさんはギタリストと話をしていた。意識はこちらにも向いている。私にも会話を聞かせている。

「体幹が細いのに大きな音を出す、と(客に)言われた」

 もちろん、これはライブハウスに潜り込んだ警官のいいがかりである。こいつらの言う大きな音とは密室の誰も見ていない場所で容疑者を脅す、「真実を曲げさせる」ための暴力的な威嚇である。そのために筋肉(体幹)をつけている(笑)。こいつらが大きな音を出すにはハッタリのための裏付けが必要で、それが暴力的な威圧のための筋肉である。建設現場で働く技能も忍耐力も備えた、文字通り建設的な作業に従事する労働者の実体のある肉体とは大違いで、こいつらのは社会を停滞させ、破壊するためにハッタリをかませる筋肥大させたささみ肉でしかない。

 一方、ミュージシャンが表現として「真実を語る」とき大きな音を出すからといってどこに問題があるのだろうか。別にジェットエンジンをふかしているわけでもない(笑)。警官らのように悪意を込めて、電磁攻撃による殺人的な音量の耳鳴りを起こさせるわけでもない。

 技術的にも楽器を大きな音、フォルテシモで安定して鳴らすことは大変難しい、と下手な私が言っているので間違いない。聴衆の前でパフォーマンスするミュージシャンに対し、本性を隠し、卑怯にも権力の殻にこもり、陰で攻撃する警官が口にするのだから呆れる。デマや中傷を流し社会の信頼を壊す「空疎なヤカラ」には表現者が真実を語れば語るほど、そこが居心地の悪い針のムシロとなり、拷問されていると感じるのである。〈関連投稿・動画〉

 
 犯人を追い詰めたら筋肉を付けた警官が、男らしく正々堂々と対峙して逮捕する。それができるのが警官だと思いたいが、どうやらこれはテレビドラマの中だけの話らしい。


秋葉原無差別殺傷事件で「命がけの格闘」が被害の拡大をくいとめていた。容疑者確保した警官が当時の心境を語る。


2008年8月16日 8時52分

秋葉原無差別殺傷事件は6月8日に起きた。

2ヶ月が過ぎ、次々と起こる事件に記憶も薄れていきそうだが、加藤容疑者を取り押さえた荻野尚巡査部長(41)が当時の状況や心境を告白。警察官の命がけの格闘で事件の拡大が防がれた事が再認識される。


2008年6月8日に起きた、秋葉原無差別殺傷事件では、加藤智大(25)容疑者はトラックで歩行者天国に突っ込んで人を跳ねた後、トラックから降りて次々と人を刺しながら走っていた。

中央通りで追いかけてきた警察官にナイフで襲い掛かり、警察官は警棒で応戦、警棒があたると加藤容疑者は脇道に逃げ込み、シャッターを背にナイフをかまえるが、警察官が銃を抜いて

「おとなしくしろ」

と叫ぶと座り込み、警察官が覆い被さるようにして身柄を確保した。


この時、勇敢に加藤容疑者を追いかけ確保に至ったのは

荻野尚巡査部長(41)である。(略)

一人で連続殺傷事件容疑者と対峙する勇敢な警官



だが、どうやらこの「命がけの格闘」も、それどころか事件そのものも警察組織がでっち上げた虚構らしいのである。 〈秋葉原通り魔事件の裏側 リンク


 実際は日々遊興に明け暮れ、遊びと仕事との区別もつかず、善悪の判断もできず、本当の敵がどこにいるかも知らず、危機が迫っても危機はないと唱え、自分の安全と私欲を第一に考え、まんじゅうを箱に詰める仕事を難易度の高い危険な仕事だと吹聴し、一つのまんじゅうを10人で箱につめ、そんな日常と実体との落差を埋めようと、平気でつぎつぎと組織的権力犯罪を作り出す。


「(自分は)昼間、仕事を何時から何時までしている」


 この話題はその日の演奏終了後、Rさんと話した時にも出てきた。これは「自分はフルタイムのミュージシャンではなく、仕事をしながら音楽活動を続けている」と伝えたいのだ。そんなことは知っている。むしろ私にとっては万人受けする音楽よりも、自分のやりたい音楽を続けるために仕事をしている、というところを心から尊敬する。私にとってはライブで聞く音がすべてで、どうやって糊口をしのごうが、何していようがどうでも良いことだ。なぜ、こんなことをRさんは私やギタリストに説明するのだろうか。

 Rさんの価値観が警官に徐々に壊されているのである。2014年秋、ライブ会場に紛れ込んだ私服のゴキブリに、終演後「ライブで生活はできているのか」という意味のことを聞かれ、このように答えていた。すぐ近くで話していたのでRさんが答える声はよく聞こえた。警官は客から拍手を受けるRさんの価値観や自信を毀損をするために、収入のことを尋ねたのである。ただ、この時点でRさんは気にもしていたかったはずである。アーティストにとって価値のある仕事は総じて金にならない。日々それでも続け、鍛えられているアーティストにとって、給料がこれこれで年金もこれこれなどと、せこいことを出さざる得ない警官の幼さに失笑するはずである。


 警官は「ワシらこんだけブラブラしとるように見えても、赤字なんか一回も出したことあらへん。月に手取りで57万円入ってくる。せやから偉いんや。あんたは客から拍手されて、ええ気になっとるかもしれんが音楽だけで食えてないんやろ。そんな人間が堂々と大きな音を出すな。体幹も細いくせに」と。その後もライブハウスに潜り込み、ファンを装い、このような些細な「貶め」を絶え間なく聞かせているのである。そして、このような「貶め」を積み重ね、自らネガティブな方向に向かわせ、原因はRさんの心の弱さにあって、警察ではないと言い逃れる。これが愚劣なガスライティング攻撃である。〈関連投稿〉


「家の近くに小さいライブハウスができた。」


 車庫を改造したような小さな店がすぐ近所に開店したとのこと。話しぶりから何か不自然で不穏ささえ感じているようすで、その店でRさんが演奏するときに聞きにこないかと誘っていただいた。その時にメールアドレスを聞かれた。私のアドレスならサブアドレスは知っているはずなので、違和感を覚えた。警察は私のメイン・アドレスを持っている人物を警察協力者にすると運営費をくすねることができると推測している。私はこの店は警察組織の作った店で、そこでR氏の音楽する力を弱めプライドを壊した上で、協力者として取り込もうとする「大道具」ではないかと考えた。

 金を浪費し警官は私腹を肥やす。これが警察協力者(トモダチ)獲得工作で、これがこいつらにとっての生産活動である。権力の威圧と詐欺的話法で、じっくりと警察に協力せざる得ない状況にRさんを追い込んでいる可能性がある。間違いなく現在は警官から嘘を吹きこまれてるようすである。

〈動画〉
 演奏開始直後、4羽①〜④の若い警官が入ってきた。先頭の1羽は私の座るテーブルの前を通るときに、対象者ファイルから予備知識を仕入れたらしく、私を認識した(この男は柱の陰に隠れ映っていない)。非常にわかりやすい警官らである。休憩中にギタリストが話しかけると4羽一斉に返事をする。親鳥が咥えた餌にひな鳥が「わたしに、わたしに」と餌をねだる、そんな感じである。警官らは正体がバレるのではないか、悪意が露呈するのではないかと焦っているだけの話しである。

 
 他には日雇い作業員の格好をした、見た瞬間性根の薄汚さを感じさせる年配の警官⑤が入ってきた。この薄汚さは社会的弱者のふりをしているが、オレは実は公務員であると驕りが見えるところからくる。相手にされないと「毎月、これだけ給料をもらっている」と下々の者に全人格でまさっていると誇示したい。これに似たようなアホな警官はよくいる。「洗脳」されている一般市民もすぐに気づくことだろうが実は人格的に最下層の人間らである。この男は演奏の合間に大声で「モーツアルト。ベートーベン」などと叫んでいる。ステージが終わると同時に立ち上がり、小さく折りたたんだ裸の紙幣をミュージシャンに手渡し、帰った。Rさんに「はよ、帰って」と言われても、金を渡す瞬間にオノレの優越を感じるのである。

 あと一人⑥は上下紺色の服装をし、最後まで居残り私の会話を収集し、デマを撒く役割の警官obである。音楽はほとんど聴かず、こちらに度々意識を向けていた。


■2016年2月24日(水)

 ライブハウスN、最後列に座り聞き入っていると、突然強い「鳴り」が始まった。振り返るとニッカボッカをはき日雇い労働者に扮装した警官⑦が入ってきた。この男はここでよく見かける。攻撃者はこの男で間違いない。私は横を向き3mほど離れた席につく男を凝視した。当然攻撃者を見る目つきは悪くなる。私は日々この攻撃を受け、死に直面している。音響スタッフは私の目つきを見て、手を口にあて息を呑んだ。それだけきつい目つきになっていたということである。


 その後、鳴りは少しだがおさまり、再び音に集中した。ところが今度は私の背後に密着し、なんとなくリズムに合わせて踊っている警官⑧がいる〈動画で手を叩いている男〉。私の集中を乱すだけでなく、私に同化することでミュージシャンやスタッフを、男が潜入する警察スパイではなく一般の音楽愛好家だと騙したいのである。こいつらスパイは周囲を騙すために誰かを踏み台にしたがる。その後私の真後ろからミュージシャンを威嚇したり、「くだらん、下手だ」と邪念を送る。とにかく私の後頭部に近づきすぎている。ここから電磁照射をうけるとダメージは大きい。〈関連投稿〉私は立ち上がり、座っていた座席と入れ替わるよう促し「どうぞ」と声を掛けた。ニッカボッカの警官は離れた場所からその様子を伺っている。私のブログを読んでおり、私の行動の意味をよく知っているのである。


 背後の男が身振りで「ここが、見通しが良い」と示し座ろうとしないので、私も安全のために席を立ち横で聞くことにした。その警官は大げさにリズムに合わせて踊るのだが、合っていない。目障りなだけである。Rさんが最後尾で立って聞いている私を見つけ「ここが空いている」と最前列の席を勧めてくれたが、「ここの方がよく聞こえるし、よく見える」と身振りまじえて遠慮させていただいた。実は最後列が被害を受けにくいのだが、なかなか説明しづらい。

 私が立ち上がり席が空くと、「自分は月に57万とっている」とRさんに言ったハンチング帽の警官OBが滑り込んだ。二匹の警官に囲まれたことになる。私を不快にさせるだけではなく、警察が私を取り込んだと見せかけることができる。こんなことでも成果とする。


 警察の管理者はこのピーポくんらに安易で安全な暇つぶしと小金をあてがい、白痴化し血税を浪費させ、市民に対する優越を味合わせる。ここはテロリストや革命家の巣窟などと理由を付け、安全な音楽のコミュニティに潜り込む。これでも一応、スパイ工作だというのだから、海外の諜報機関が見たら日本の警察は与し易い情けないピーポくんがうようよと群れている保育園に見えるに違いない。



■2016年3月10日(木)

 神戸市内某所のライブハウスに寄る。この店は平成11年暮れから年間4〜6回のペースで立ち寄っている。その日は店内に客はいなかった。ビールを注文して、すぐに尾行の女が入ってきた。店主I氏は女に「わかっている」という意味の返事をし(正確には聞こえなかったが)、指示通りに動き始める。予め私が来たらこうするようにと「貶め」のための指示を受けていると思われた。推測だが警察はI氏にそれだけ投資し、協力者として運用しているということである。もちろんI氏に責任は一切ない。むしろ、被害者である。


 I氏は「裁判所で働いている同級生と二十歳台に飲んだ時に、大阪府警に研修に行った時のことを話してくれた。警察はどんなでっち上げでもやる、誰でもいつでも犯罪人にすることができる。だから逆らえない」とか、「自分には(警察に調べられたら)まずいことが2つある」と漏らす。徐々に警察の悪意に気付き始めたが、警察の嫌がらせが怖く、なかなか警察のトモダチから抜けられないと伝えているように思えた。


 I氏をどのように警察協力者として取り込んでいったか、その手口については時期がきたら説明したい。


 I氏は警察によって「集団ストーカー」手法であるガスライティングについて説明を受けている。そればかりかただの強弁にすぎないのだが、嘘の通し方までも教えこまれている。例えば「ここに警官がくるということは一切ない」「・・・ということは絶対、絶対(繰り返す)ない」などである。I氏は協力し続けないといけない程度に警察の秘密(盗聴・盗撮・尾行・ネット監視などの違法行為)を聞かされている。 I氏は私がビールを飲み始めてすぐに目の前にI氏所有のものとは別のスマホを置いた。盗聴の手伝いをさせられていると考えられる。


 話題がサックス奏者Rさんに移ると、I氏は否定的な評価しかしない。「大したことない」というわけである。そのような用途に使うために警官はライブハウスで無断で撮影している。Rさんが調子の悪い日、または妨害され演奏の質を落とされた日など、半分しか能力が発揮されていない演奏を恣意的に選び、第三者に聞かせてまわる。


 I氏はRさんに対するネガティブな意見を述べるのだが、もちろん愚劣な警官に指示されてやっていることで、ライブを主催しミュージシャンとも付き合いのあるI氏の考えではない。もし私がI氏のRさんの音楽に対する否定的な意見を、肯定も否定もせずに黙って聞いていると、私がRさんの「悪口を言っていた」ということになる。

 一般市民にとっては漫画でしかないような魯鈍の行いでも、外国勢力との諜報戦の経験のない警官らはこれがスパイ活動であり仕事であると思い込み自画自賛しつつ、いつまでも続けるのである。


■2016年5月18日(水)

 ライブハウスNでRさんのカルテットを聴く。この日は、開演前にRさんは隅の座席に座る私に、「こんなところにいた」と声をかける。それに応じて私も挨拶する。後にいた主催者のドラマーが私に3回頷いた。すでに警官が動いていると思われた。「Rさんを悪く言わせようとしたが悪く言わなかった」アテが外れた、と言うわけである。I氏はRさんをよく知らないはずだが、ずっとミュージシャンをサポートしてきた経験から、消極的ではあっても私を支持したと思われる。愚劣な警察に協力することに徐々に嫌気がさしてきたのではないか、そうでないと人としておかしい。警官は動かざる得ない状況に追い込まれたのである(笑)。離間工作のためにチョロチョロ動き回る。みっともない話しである。
 Rさんは「小さい音で吹きます」とMCし、とても賛同しかねる表現を始めた。正直、聞いている私も居心地が悪くなった。そのうえ、故意に同じフレーズを何度も繰り返している。妨害を受けて同じフレーズが出てくるのではなく、意識して繰り返している。それぐらいわかる。同調圧力に屈し完全に操られているように感じた。以前のライブで警察組織はRさんに攻撃を加えたのだが、その攻撃をなかったことにしたいのである。警官らは一生懸命魯鈍な頭をひねっていたはずだ(笑)。

※一部Rさんに対して失礼にあたる表現があったために説明を追加し訂正した。

消音器をかぶせてである。かなり恥ずかしい音である。それを警官は無断で録音しRさんに聞かせて昨年11月19日のライブでNaimaを吹くように依頼し ている。私の悪い吹き癖もうまく真似されていた。私がウォーミングアップに使う1・3・5と1・4・5のアルペジオを吹いたことでも明らかである。私に とってはこれは言葉で「警官に録音を聞かされた」と証言されたと同等である。(過去に実際聞かされたと言葉で証言してくれた方もいる)〈関連投稿:鑑賞妨害 ライブハウス3〉

※なお、私はサックスについては素人で、批評する立場にはない。あくまで警官の愚劣な工作をあきらかにするために書いている。


 他の客の反応はどうだろうかと周囲を見渡すが、最初店に入った時の印象通り、ほぼ半数は無反応無表情ですわっている。彼らは警察の用意したパープである。


 この小さい音というのは、私が自宅で消音器をつけて鳴らしている2004年秋から暮れにかけての音を盗聴し録音、それを聞かせ、「真似してやってくれ。(体幹の細い)本人が喜ぶから」などと騙したためと考えられる。消音器を付けて、その上音がもれないよう小さく吹くとミミズが鳴くような音になる。吹いている本人は振動による雑味を感じるので耐えられるのだが、録音するとツルツルのか細い音になるはずだ。その音をRさんに真似させている。善意を装い人間関係にとんでもない毒を注ぎ込んでいる。全てはいずれ明らかになる。Rさん、ドラマーのKさんがありのまま話をしてくれる時期がくるのを待つばかりである。






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〈資料庫〉 情報を差し出す追従警察組織は日々遊戯にうつつを抜かす

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衝撃インタビュー 「日本での諜報活動と驚くべき世論操作」=ジャーナリスト小笠原みどり


2016年6月8日

    サンデー毎日

▼1カ月で「メール970億件」「電話1240億件」収集

▼官庁から企業まで大規模盗聴「ターゲット・トーキョー」

▼三沢(青森)~嘉手納(沖縄)日本に根を張る米国諜報網

▼日本の情報の盗聴源は大洋横断ケーブル


 本誌は前号で、元NSA契約職員・エドワード・スノーデン氏(32)への日本初となる独占インタビューによって、米国による世界同時監視システムを暴いた。引き続き今回は、米NSAが民間通信会社を抱き込んで行う監視と世論操作の驚愕すべき実態を伝える。

 米国家安全保障局(NSA)の元契約職員、エドワード・スノーデンが2013年6月、NSAの極秘監視網が世界中のインターネット、Eメール、電話の情 報を集めていると告発したとき、どれだけの日本人が自分のコミュニケーションものぞかれ、聞かれ、盗まれているかも、と感じただろうか? 確かに当初の連 続スクープに日本の具体例は登場しなかったし、NSAに協力していた米大手インターネット企業(グーグル、ヤフー、フェイスブック、スカイプ、アップル、 ユーチューブなど)の利用者が日本に何千万人いようと、日本の報道機関が当事者意識をもって追及することはなかった。しかし昨年、内部告発メディアのウィ キリークスは、NSAが日本の省庁、日本銀行、大手商社など計35回線を長期にわたって盗聴してきたと発表。NSAは日本の通信をどうやって傍受し、なん のために使ったのか? スノーデンに聞き、筆者が調べていくと、日米間の通信ケーブルが主要盗聴ポイントのひとつであることが明らかになった。通信会社を 引き込んだNSAの恐るべき監視手法と、監視にもとづく世論操作の実態を報告する。
ターゲット・トーキョー

「米政府が日本政府を盗聴していたというのは、だれにとってもショックな話でした。なぜなら日本は米国の言うことはほとんどなんでも聞いてくれる、信じら れないほど協力的な国だから。今では平和主義の憲法を書き換えてまで、世界で広がる戦闘に加わろうとしているでしょう? そこまでしてくれる、信頼できる 相手を、どうして入念にスパイするのか? まったくバカげています」

 ウィキリークスが昨夏公表した「ターゲット・トーキョー」 大規模盗聴事件を、スノーデンはこう振り返った。

 NSAは少なくとも第1次安倍内閣時から内閣府、経済産業省、財務省、日銀、同職員の自宅、三菱商事の天然ガス部門、三井物産の石油部門などの電話を盗 聴し、金融、貿易、エネルギー、環境問題について日本の通信を監視していた(15年8月段階での本誌の取材に対し、三菱商事は「事実関係を確認中」、三井 物産は「確認しようがない」と回答)。

 07年の機密文書は、安倍首相の訪米にあたり、外務省は気候変動対策として「温室効果ガスを2050年までに半減させる」という提言は米政府に了承され そうもないので触れない方針だったが、結局事前通告することにした、と記す。これは首相官邸での安倍首相へのブリーフィング(説明)で決まった模様で、日 米関係に支障をきたさないか、懸念したらしい。

 別の極秘文書では、米国産サクランボの輸入遅延が対米関係を損ねないよう、方策を検討する農林水産省職員の「恐れ」が細かに描写されている。米国の反応 を過剰に気にする、こんな心理に盗聴の価値があるのか疑問だが、米国が日本への優位を確認し続けたことは間違いない。しかもこれらの盗み聞きは「ファイ ブ・アイズ」と呼ばれるイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダにも一部回覧されていた。

 盗聴が発覚した際も、怒りを欠いた日本の反応は世界的に注目された。先に盗聴が発覚したドイツのメルケル首相はオバマ大統領に直接電話して「親しい友人 間にこんな盗聴はあってはならない」と即刻停止を求め、フランスのオランド大統領は緊急会議を招集、外務大臣は米大使を召喚して同大使館にあるとされる NSAの監視装置について説明を求めた。安倍首相は国会で「仮に事実であれば極めて遺憾」と述べたが、非難の度合いは欧州に程遠かった。1カ月近くたって オバマ大統領からの電話で「ウィキリークスの暴露によるトラブルは遺憾」というあいまいな「謝罪」を受け取った以降の日本政府は、盗聴事件などなかったか のように沈黙している。

「どうして日本政府は公に抗議しないのか?」とスノーデンは疑問をぶつける。「もし抗議しないのなら、それは自ら進んで不適切な扱いを受け入れているのと同じことです。自分で自分に敬意を払わないで、どうしてだれかに敬意を払ってくれるよう頼めますか?」

 だから日本人は盗聴しても構わないし、むしろ穏便に盗聴されたがっている、とNSAは理解しているのかもしれない。
諜報は米軍基地の主要任務

 東京都内を中心に35カ所もの盗聴は、どうやって可能になったのだろうか。

 オーストラリアの安全保障研究者、デズモンド・ボールとリチャード・タンターによれば、米国の信号諜報(ちようほう) (SI(シ)GI(ギ)N(ン)T(ト))活動には現在、米海軍横須賀基地(神奈川県)、米空軍三沢基地(青森県)、同横田基地と米大使館(東京都)、米 海兵隊キャンプ・ハンセンと米空軍嘉手納基地(沖縄県)の計6カ所を主要拠点に、約1000人が当たっている。在日諜報活動は冷戦期に約100カ所にまで 膨れ上がったが、現在はインターネットとコンピューターの監視が最重要項目になっているという。米軍基地は戦争の遂行だけでなく、監視・盗聴を主要な任務 に位置づけているのだ。

「三沢には僕も行きました。巨大なゴルフボールのような、たくさんの衛星受信機が設置されていますね。あれらで他国を諜報する建前ですが、日本も盗聴できる」

 スノーデンの13年の告発は、NSAの技術者が三沢の監視能力について自画自賛した機密文書を含む。

「三沢安全保障作戦センターは衛星で感知した瞬間に信号を自動的にスキャン・復調する機能を開発。我々の計画は『コレクト・イット・オール(すべてを収集 する)』というスローガンにまた一歩近づき、今後もさらなる進歩が期待される」(グレン・グリーンウォルド著『暴露』・新潮社より)

 さらに米大使館(東京・赤坂)は国会、首相官邸、各省庁に近く、NSAの特殊収集部隊が配置されているといわれる。米中央情報局(CIA)が代々手がけ てきたような盗聴器やスパイを使う手法はリスクも高く、電子情報を大量窃取する手法へと、9・11以降の監視は移り変わっている。日米間の場合、最も情報 を盗みやすいのは国際ケーブルを使った通信、例えば外務省から米ワシントンの日本大使館へ、東京の本社から米国内の支社へ電話するような場合だと、スノー デンはみる。

「通信が暗号化されていなければそのまま会話が聞けるし、暗号化されていれば解読キーを扱う機関に金を払ってキーを盗む。電話番号を打ち込むだけで、会話を楽に盗聴できる仕組みがあるのです」

 通信インフラに侵入して情報を盗み出す「特殊情報源工作(SSO)」である。
すべての情報のコピーがNSAに流れ込む

 スノーデンはこのSSOこそが「今日のスパイ活動の大半であり、問題の本当の核心」と言う。

 SSOは主に、太洋横断通信ケーブルの上陸地点に設備をつくり、ケーブルからNSAのデータベースへと情報を転送する。これにはケーブルを管理する民間 通信会社の協力が不可欠だ。NSAの内部文書は世界中で80社以上と「戦略的パートナーシップ」を築いたと誇る。提携相手によって「BLARNEY(ブ ラーニー)」「FAIRVIEW(フェアヴュー)」など異なるコード名をつけたプログラムが世界中に張り巡らされている。

 この仕組みはある意味で、大手インターネット会社のNSAへの協力を暴いて、13年に世界中の怒りを買ったプログラム「PRISM(プリズム)」以上に問題がある、とスノーデンは考える。

「プリズムは、政府がグーグルやフェイスブックなどの各社に利用者のアカウントを特定して情報提供を求め、各社が情報を抜き出して政府にコピーを送りま す。が、ケーブルに侵入する場合はいったん情報転送の仕組みができれば、通信会社はそれ以上なにもする必要はない。その回線を流れるすべての情報の完璧な コピーが、常時NSAに流れ込んでくるのです」

 こうしてSSOを主体にNSAが世界中で集めた情報は、13年のある1カ月間だけでもメール970億件以上、電話1240億件以上と集計されている。日 本国内で送受信されたメールであっても、大手インターネット会社のある米国内の回線、サーバーを通過する場合は多い。
オレゴン州に盗聴設備

 では日本の情報は実際にどこで盗まれているのか? 米紙『ニューヨーク・タイムズ』は昨夏、「FAIRVIEW」の構築には大手通信会社AT&Tが、 「STORMBREW(ストームブリュー)」にはやはり大手のベライゾンが、積極的に手助けしたと報じた。このうちSTORMBREWの侵入地点は米両沿 岸に七つあることが、スノーデンの持ち出した最高機密文書で明らかになっている。しかしNSAが「チョーク(窒息)ポイント」と呼ぶ、これらの地点にはす べてコード名が付され、実際の場所や提携会社名は明かされていない。

 が、この記事の根拠となった文書の一枚に、米国とアジア太平洋地域を結ぶ国際海底ケーブルのひとつ「トランス・パシフィック・エクスプレス」が、 STORMBREWのルートとして登場する=図1。この光ファイバー・ケーブルはベライゾンのほか、中国、台湾、韓国の5社が06年に共同建設に合意。 08年春にAT&Tと日本のNTTコミュニケーションズも参加して、同年秋に完成した。各国のケーブル上陸地点に陸揚げ局があり、NTTは千葉県南房総市 に新丸山局を設置。米側はケーブルがオレゴン州北部のネドンナ・ビーチに上陸、内陸側のヒルズボロにベライゾンが陸揚げ局を置いたことが判明した。これが 窒息ポイント「BRECKENRIDGE(ブレッケンリッジ)」と位置的に重なる。つまりアジア4地域から入る膨大なインターネット、電話情報の一部が、 オレゴンでNSAに押さえられているらしいことがわかった。

 同記事は、11年の東日本大震災で海底ケーブルが損傷し、FAIRVIEWの情報収集が約5カ月滞ったが復旧した、と告げる文書も公表。複数の通信会社 と提携した、複数の地点で、日本の通信は日夜NSAに「窒息」させられている。文字通り「コレクト・イット・オール」に近づくために。
企業はNSAの目的を知っているか?

 企業が政府に協力する典型的な過程をスノーデンはこう語った。

「多くの場合、最大手の通信会社が最も密接に政府に協力しています。それがその社が最大手に成長した理由であり、法的な規制を回避して許認可を得る手段で もあるわけです。つまり通信領域や事業を拡大したい企業側に経済的インセンティブがはたらく。BRECKENRIDGEのような陸揚げ局を設置する場合、 NSAは建物内の一室を貸してくれるなら支払おう、その代わりその部屋へケーブルを引き込んで、あなた方の設備から全情報のコピーが来るようにしてほし い、と持ちかける。企業がNSAの目的を知らないはずはありません」

 では、日本の通信会社も海底ケーブルが盗聴に使われていることを知り、NSAに協力しているのだろうか?

「日本の通信会社が直接米政府に協力している例は、聞いたことがありません。けれどもし、日本の企業が日本の諜報機関に協力していないとしたら驚きです ね。というのは、世界中の諜報機関は同手法で得た情報を他国と交換する。まるで野球カードのように。手法は年々攻撃的になり、最初はテロ防止に限定されて いたはずの目的も拡大している。交換されているのは、実は人々のいのちなのです」

「僕が日本で得た印象は、米政府は日本政府にこうしたトレードに参加するよう圧力をかけていたし、日本の諜報機関も参加したがっていた。が、慎重だった。 法律の縛りがあったからではないでしょうか? その後、日本の監視法制が拡大していることを、僕は本気で心配しています」

 前回指摘したように、特定秘密保護法、今国会での通信傍受(盗聴)法改定案成立と、日本の監視システムは法的追認の一途をたどっている。
世論と社会心理の操作

 ターゲット・トーキョーは米監視システムが、NSA高官が強調するような「米市民の安全」と無関係な目的で使われていることを暴いた。標的にされている のは政府や企業だけではない。報道機関、ジャーナリスト、そして市民の抗議、請願、署名、調査といった民主主義に不可欠な政治行動も狙われている。NSA と深い協力関係にあるイギリスの諜報機関GCHQが、世界的な人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルを違法にスパイしていたことを昨年、英裁判所 は認定した。

 スノーデンはインタビュー画面を切り替え、ある機密文書を筆者に示した。そこにはGCHQが検討した、驚くべき世論操作の手法が示されていた。社会的に 影響力をもつ個人や組織の信用を失墜させるために、ネット上で偽の情報を流す、写真を差し替える、同僚や友人にメールを送る、「被害者」を登場させる―。 さらに市民団体やNGOを弱体化させる方法を、精神分析、社会心理の専門家たちが研究している=図2。これらの文書はNSAを含むファイブ・アイズにも共 有されている。

「ネット上の世論調査、投票、評判、会話の操作にも知恵を絞っている。これは犯罪捜査やテロ対策とはなんの関係もない、権力の乱用です。乱用がルーティン化している。しかし乱用は秘密に守られ、けっして表には出ない……」

 スノーデンが日本にいたのは、鳩山由紀夫元首相が沖縄の米軍基地移設問題で「最低でも県外」という公約を果たせず、民主党政権が急速に衰えていった時期 でもある。沖縄以外の日本のメディアは「日米同盟最優先」を合言葉に、米国の求める辺野古移設案をこぞって支持した。沖縄では現在も新基地建設反対の運動 が続き、抗議する市民の逮捕や、関係する米軍監視カメラの映像がネット上に流出した。こうした一連の動きも、米政府の情報収集と世論操作の対象になったの だろうか?

「まさに最優先項目でしょうね。でなければ、沖縄にある多くの基地はなにをしていると思いますか? あれらはお飾りじゃない、巨大な監視能力を備えています」

(文中敬称略・以下次号)

(ジャーナリスト・小笠原みどり)

「日米同盟の正体を暴く」/3 スノーデン・独占インタビュー プライバシーこそ権利の源だ=小笠原みどり


2016年6月15日

サンデー毎日

▼オバマ大統領の苦しい釈明「米国人以外は盗聴」

▼無差別盗聴は「テロ対策に全く役立たなかった」

▼米裁判所がNSAの通話記録収集に違法判断

▼反監視の世界潮流に逆行し、監視進む日本

 米国の世界同時監視システムの告発者、エドワード・スノーデン氏(32)への日本初・独占インタビューを掲載して話題沸騰の本連載。今回は告発後3年間、スノーデン氏がインターネットを通じて行ってきた監視社会への弾劾と、NSAの情報支配への批判の潮流を明らかにし、特定秘密保護法、マイナンバー導入と深化する一方の日本の監視体制に斬り込む。

 米国家安全保障局(NSA)が世界中のインターネット、電話回線に張り巡らせた監視システムの数々を暴き、世界を瞠目(どうもく)させたスノーデンは、もうすぐロシアでの亡命生活3年を迎えようとしている。モスクワ暮らしは「地獄ではない」というが、移動の自由はない。しかし、これまでのどんな内部告発者とも違って、スノーデンはインターネットを通じて世界各地の講演会場に登場し、ジャーナリストの質問にも応じている。NSAの上級サイバー工作員として身につけた知識を武器に、2013年以降も彼は告発を続け、その発言に直接耳を傾ける人々は増え続けている。

「人々はプライバシーをどうでもいい問題とは思っていないし、監視への集団的な意識は確実に変わった」と彼は言う。日本ではこれまでこうした動きは報道されず、日本人はこの変化の蚊帳の外に置かれていた。特定秘密保護法の制定、共通番号(マイナンバー)制度の実施、盗聴捜査の拡大―その間に多くの監視システムがつくられていった。私たちはこれからも、日常を埋めていく国家の監視の前にただ沈黙を深めるだけなのだろうか。

「どんな明日を生きたいと思うのか、考えるときです」とスノーデンは語りかける。

会場に押しかける聴衆

 昨年11月、カナダ東部・オンタリオ湖畔に建つクイーンズ大学の石造りのホール前には、学生団体が主催する集会の1時間前から長蛇の列ができていた。「スノーデンの告発以降の監視を考える」と題した会の基調講演は、スノーデン自身。

 夕暮れていくキャンパスに、わらわらと学生が現れては列を延ばしていく。まるでロックバンドのコンサート前のように。1000席あるホールには聴衆が入りきれず、何百人かが引き返した。講演はネットで同時中継され、別の1000人がこれに見入った。

 会場のステージに設置されたスクリーンに講演者が登場するや歓声が起こり、2階席まで充満した熱気はさらに高まる。司会者に「パレーシア(ギリシャ語で、危険を冒してでも真実を語る者の意)」と紹介された彼は話しだす。

「大衆監視システムを扱う人々は法律を破ってもなんの責任にも問われない。一方、市民の側は権力に日々見張られ、ますます干渉される。監視は民主主義の根幹にかかわる問題です」

「NSAシステムの原罪は、NSAに権限を与えたブッシュ政権にあるかもしれない。けれどこのシステムが一歩ずつ拡大し、攻撃的になり、権利を侵害するようになっていったのは組織の事なかれ主義のためです。組織の一人ひとりが保身のために目の前の不正に目をつぶり、監視の増長を承認し、それに慣れていった」

「僕は一介の市民、エンジニアにすぎません。皆さんにどうするべきか指示するつもりはない。ただ皆さんに監視の実態を知らせたかったし、こんな社会に生きたいのか、考える機会を提供したかった」

 彼が告発の意味を語るたびに、会場は万雷の拍手で応える。北米のメディアで政府、報道関係者に繰り返し「国家の裏切り者」とののしられた政治亡命者に、これだけの関心と支持と感謝が寄せられているとは、筆者は予想していなかった。

プライバシーとは何か?

「最近の僕は、考えること、それから話すことにもっぱら時間を割いています」。インタビュー画面のスノーデンは近況をそう説明した。

 スノーデンの弁護士で、米国自由人権協会(ACLU)のベン・ワイズナーによれば、彼はこれまでにドイツ、フランス、イギリス、ベルギー、イタリア、オランダ、スイス、ポーランド、エストニア、ノルウェー、スウェーデン、ニュージーランド、オーストラリア、韓国、エクアドルなど、世界17カ国以上で講演し、6月4日に初めて日本にも登場した。

 最近はほぼ週2回の割合で話し、このうち最も回数が多いのは米国内のようだ。ハーバードやプリンストン、シカゴといった有名大学から、ニューヨークの音楽学校、エンジニアの会議まで、招待は引きも切らない。カナダにも頻繁に現れ、西海岸のバンクーバーで4月、2700人を前に「パナマ文書は内部告発者の必要性を示した。変化は待っているだけでは起きない」と発言したばかりだ。

 彼自身が告発時に20代だったこともあってか、聴衆には若者が多い。自由と民主主義のツールといわれたインターネットが、監視の要塞(ようさい)に成り果てたことは、ネットとソーシャルメディアを空気のように感じて育った世代にこそ衝撃だったのかもしれない。

「みんな、なにが起きているのか知りたがっている」

 その言葉からは、告発者となって以降の思索のあとがよくうかがえる。

「政府はよく監視について『隠すことがないなら恐れることはないだろう』と繰り返します。けれどプライバシーはなにかを隠すためではなく、守るためにある。それは個です。プライバシーは実は、個人の権利の源です。プライバシーがなければ、言いたいことを言い、あるがままの自分でいることはできない。それは全人格を集団に吸収されることです。どこかで読んだことを言い、友だちの考えたことを繰り返すだけなら、オウムと一緒です。プライバシーがなくても構わないと主張する人は、表現の自由なんかなくても構わないと主張しているのと同じです。自分には言うことがなにもない、と」

米国人以外の監視は制限なし

 告発の初期、報道の中心は米政府が米市民の通信情報を大量に収集しているという点だった。というのは、NSAが犯罪被疑者ではなく、一般市民を監視・盗聴しているという疑惑はそれまでにも米国内で浮上していたが、ジェームズ・クラッパー国家情報長官は13年3月、連邦議会でこの疑いを否定していた。一方、米メディアの代表格『ニューヨーク・タイムズ』紙は04年、NSAの捜査令状なしの違法な盗聴を報じようとしたが、ホワイトハウスから「テロリストを手助けするのか」と脅され、掲載を1年以上も見送っていた。

 こうしたいきさつを熟知していたスノーデンは、監視問題に詳しく、大組織から独立した立場にある2人の米国人ジャーナリストに、動かぬ証拠の機密文書を香港で明かした。

 英紙『ガーディアン』のコラムニスト、グレン・グリーンウォルドと、映画監督でもあるローラ・ポイトラスだ(この経緯はグリーンウォルド著『暴露』=新潮社=と、昨年の米アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞しながら、今月ようやく日本で公開が始まったポイトラス作品『シチズンフォー』に詳しい)。爆弾スクープは米国を直撃し、オバマ大統領は「米市民であればNSAが電話を盗聴することはありえない」と苦しい嘘(うそ)を繰り返した。

 しかしこれは、世界に向かって「米国人以外は堂々と盗聴する」と宣言したに等しかった。NSAの違法盗聴はもともと、9・11直後にブッシュ政権がテロ対策としてNSAに国内通話の記録を収集する権限を秘密裏に与えたことに端を発し、のちに「愛国者法」を後ろ盾に強化された。

 08年に改定された外国諜報(ちようほう)活動監視法は「米市民」と「それ以外」を区分し、米市民の通話やメールを入手するには外国諜報活動監視裁判所から令状をとる必要があるが、「それ以外」への盗聴は令状を不要とした。「それ以外」とはもちろん日本人を含む、世界中の人々である。容疑事実があろうとなかろうと、米国一国が世界中の人々の電話、メール、チャット、ネットの検索履歴を自由に傍受できる法制度が誕生していたのである。

 スノーデンの暴露は米国の問題にとどまらなかった。世界中の政府、市民が初めてNSAの監視の実態を知った。オバマ大統領が、米市民は特別に守られていると強調する度に、世界は「米市民以下」だということを念押しされた。

NSAに違法の判断

 世界中で巻き起こった反発の結果、「広範な領域で変化が始まっています」とスノーデンは説明し始めた。

 まず、オバマ大統領自身の検証グループは13年12月、NSAは米市民の電話、メールの収集を中止し、友好国のリーダーを盗聴するのは露呈した際の外交、経済上の影響を考慮して厳密に精査すべきだと発表した。

 翌月、大統領と上院によって選出されたプライバシーと市民的自由に関する監督委員会(PCLOB)も、NSAによる通話収集は違法であり、終了すべきとの見解を示した。

 両報告に挟まれるかたちで、同大統領は14年1月に「米政府は今後、米国内の全通話のデータベースは保持しない」と演説。さらに「NSAは今後、友好国のトップや政府をスパイしないし、盗聴された外国市民に対しても保護を与えるだろう」と表明した。

 が、両報告の真骨頂は、ともにNSAの大衆監視がテロ防止に役立ってはいない、と結論した点だった。

 PCLOBは「盗聴プログラムが対テロ捜査の成果に具体的に役立ったケースは一件もなかった」「さらに、新たなテロ計画の発見やテロ攻撃の阻止に直接役立ったケースも発見できなかった」と発表した。

 米控訴裁判所は昨年5月、NSAの通話記録収集は違法であるという初の判断を下した。翌月、「愛国者法」の失効に伴って成立した「自由法」は、NSAによって過去14年間続けられた国内通話記録の無差別収集に終止符を打ち、記録は電話会社が保管し、政府の個別要求に対して提供する方式に改められた。

「もちろん、これらは改革として十分ではありません。ほんの最初の一歩でしかない。けれど大統領は初めて外国人のプライバシー保護に触れ、司法もそれまで『証拠がない』としていた姿勢を180度変えて、NSAに違法の判断を下した。そして米国で初めて、諜報機関の特権に制約を与える法律ができた。これらはすべて13年以降のジャーナリストたちの仕事の成果なのです」

取り残される日本

 彼の言葉通り、規制は膨大なNSA監視システムのほんの一部に対してであり、「見せかけにすぎない」という厳しい批判がある。また、自由法の制定過程では「この国を日々守るための道具をまた一つ失う」「国を守り続けるのに必要な重要な道具はすべて残ったままだ」といった論議が繰り返された。この政治家たちは、テロは無差別監視では防げないという報告を耳に入れず、まして米国以外の自由など眼中にない。

 しかし、それに世界が黙っていたわけではない。

 ドイツとブラジルは、オンライン上のプライバシーを基本的人権とする決議を国連総会に共同提案し、13年末に全会一致で採択された。国連「反テロと人権」特別報告者は翌年10月、電子的な大量監視は複数の国際条約によって保障されたプライバシーの権利に明確に違反すると発表した。

 米国も批准している「市民的及び政治的権利に関する国際規約」は、個人が国の干渉なしに情報や考えを共有する権利を持ち、通信が意図した相手だけに届くことを保障している。「大衆監視技術を使用する国家は、情報をその影響も含めて独占し、真の情報に基づく議論を阻害する検閲を実行しているに等しい」と報告は述べる。つまりNSAの監視は米市民だけでなく、世界に対して違法であり、国家は自国民だけでなく「それ以外」の人々にも等しくプライバシーを保障する義務があることを、国際法は定めているのだ。

「最大の変化は、監視に対する一人ひとりの意識だと思います」とスノーデンは言う。「なぜなら私たちは少なくとも、政府が手にしている強大な権限の実態をもう知ったから。これが私たちの望む方向なのかを考え、選挙で示すことができる」

 こうした世界の動きを伝えるニュースが遮断されたまま、日本では政府の内部告発者を厳罰に処する特定秘密保護法ができ、国民一人ひとりの情報を多分野にわたって収集する共通番号(マイナンバー)制度が始動し、盗聴捜査を大幅に拡大する法案が成立した。その間に日本が「世界報道の自由度ランキング」72位へと急落したのは偶然ではないだろう。

「単に自由なだけではなく、反対できる力が報道には必要なのです。政府だけではない、企業にも対抗できる力です」

(文中敬称略・以下次号)

(ジャーナリスト・小笠原みどり) 

 

■筆者略歴
小笠原みどり

 朝日新聞記者を経て、2004年、米スタンフォード大でフルブライト・ジャーナリスト研修。現在、カナダ・クイーンズ大学大学院博士課程在籍。監視社会 批判を続ける。共著に『共通番号制(マイナンバー)なんていらない!』(航思社)、共訳に『監視スタディーズ』(岩波書店)。

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